断酒が軌道に乗り始めると、アルコールを断つことによって得られていた快適さが当た
り前のものになってくる。
アルコールを断つことで一定期間感じることができた断酒のメリット。
それに新鮮味が失われ、 意識から消えてしまいがちになる。
そして断酒のメリットを忘れてしまうと同時に、頭に浮かんでくるのがアルコールにま
つわる良き「お・も・ひ・で」
やっかいなことに酒を飲んでいた時の記憶が、全て良いものとして自動補
正され、勝手に脳裏に浮かんでくるのだ。
そもそも断酒をしようと思い立ったきっかけは、酒にまつわる苦い出来事に直面したこ
とがきっかけだったはずなのに。
だけど断酒を始めて一定期間経つとそのネガティブな記憶を、脳が黒歴史として消去し
てしまうから質が悪い。
そして断酒挑戦者にとっておなじみのあの声が聞こえてくる
「あれ?なんで酒我慢してるんだっけ?」
「人生損してるような気がしてきた」
「ちょっとくらい飲んでもいい」
「ああ 酒飲みたい!」
そんな悪魔のささやきがどんどんどんどん湧いてくる。
こんな感じで断酒のさまたげになる思考は放っておいても勝手に浮かんでしまう。
そうであるにもかかわらず断酒を助けてくれる記憶は自然に頭に浮かぶことはない。
断酒を助けてくれる記憶とは、
酒浸り生活では決して味わうことのできなかった
新鮮な感情・感覚・思考など
例えば
朝起きた時の清々しさ
体調が良好な感覚とか、健康不安から解放された安心感
時間を有効に活用している充実感
などなど・・・。
そういった「酒をやめて良かったな」と思えること全般。
悲しいことに、これらは一定の期間が経つとだんだん薄れていき、意識的に思い返さな
い限り、頭に浮かぶことはあまりない。
脳内において断酒の敵は勝手にどんどん勢いを増していくにもかかわらず、味方は積極
的には援護してくれない状況。
これではスリップに至ってしまうのは当然の流れ。
一体どうすればいいのだろうか。
断酒継続の強力なエンジンとなる「二種類の記憶」
単純で地道だけど個人的にはかなり効果を実感している方法がある。
それは・・・
二種類の記憶を意図的に思い起こすこと。
それによって自動的に浮かび上がる楽しかった酒の記憶を打ち消すというもの。
二種類の記憶とは・・・
断酒初期のころの「酒をやめて良かったな」と強く思った記憶
アルコールを断つことで体の調子が良くなったり、時間やお金の浪費がなくなったりす
るなど人それぞれ酒から解放された喜びの記憶があると思う。
そういった「快」の記憶。
もう一つは
酒飲み時代に味わったもう酒なんて飲みたくないと思った記憶
酒にまつわる「嫌な記憶」も頻繁に意図的に思い出したほうがいい。
二日酔いの気持ち悪さとか。
お金や時間を無駄に使った罪悪感とか。
酒の席で失敗したこととか。
断酒を考えている人ならばそいういう苦い思い出のひとつやふたつ(いやそれ以上?)
の「不快な記憶」のストックがあるはず。
財産となり得る「快」と「不快」の記憶
以上の「快」と「不快」の記憶は、断酒継続の強力なエンジンになり得ると考える。
貴重な財産として活用すべきではないだろうか。
とにかく地道に意識を改革していくことが大事。
コメント